もし今、コロナが疑われる症状が出てしまったら、どうすればいい?重症化リスクの低い人については、抗原検査キットなどを使って自ら検査し、その結果次第で医療機関を受診するかどうかの判断するケースも考えられます。しかしこの判断の材料となる「抗原検査キット」など「検査」の部分が今足りていない現実があります。
専門家の助言によりますと、発熱などの症状があった場合、オンライン診療などの手段を使ってでも、早期の相談が必要だとしています。医療がひっ迫しつつある中、また、検査も十分受けられる状況に無い中、それでも発熱したら?今気をつけるべきことを専門家にききました。
南波雅俊キャスター:
新型コロナウイルスの新規陽性者数は、1月28日現在全国で、過去最多8万1818人。過去最多はこれで4日連続、初めて8万人を超えました。関東1都6県で見ましても、東京を含む5つの都県(栃木県・茨城県・埼玉県・東京都・神奈川県)で過去最多という状況になっています。これだけ新規陽性者が増えてきますと、もし症状が出た場合に適切な医療を受けられるのか、診断を受けられるのかというところも気になってきますが、検査の状況は今ひっ迫しています。
本来であれば症状が出ますと、医療機関を受診してPCR検査などを行って医療機関への診断を受けるという形になっています。ただ、現状としては多くの医療機関は、発熱外来なども含めて予約が今は難しくなっているという現状があります。そんな中、1月24日から厚生労働省は自治体が判断する形になりますが、症状が現れてもリスクが低いと思われる方、例えば症状が軽い・40歳未満・基礎疾患がない・ワクチン2回接種済みなどといった条件をクリアすれば、抗原検査などで自ら検査をして陽性とわかれば、医療機関で検査なしに診断を受けることができるという形になりました。その際には電話の診療であったり、オンライン診療も活用できるという状況なんですね。もちろん陰性になったとしても症状が続く場合には受診という形になります。
しかし、抗原検査をする上で必要な抗原検査キットが今、入手困難な状況になっています。それだけ新規陽性者の検査を受けたいという人も増えている中で、さらに外来医療のひっ迫が想定される場合には、今度は医療機関ではなくて、医師のいる都道府県などが設置したフォローアップセンターに連絡をして、自宅療養など健康観察を行うこともできるんですが、ただ抗原検査キットが入手できなければ、医療機関にも行けないしフォローアップセンターにも行けないという状況が、この後も想定されるわけなんですが、倉持先生、今もし新型コロナウイルスと思われる症状を発症した場合、対応はどうしていったらいいのかを教えてください。
インターパーク倉持呼吸器内科 倉持仁院長:
大原則として、診療診断を下すのは医師の仕事です。今回のオミクロン株は、発症するスピードも感染力も強いですから、早い段階で早く検査が受けられるように、受診できることが理想だと思います。ですから症状が軽い内にきちんと相談できる医療機関というのが必要だと思います。
ホラン千秋キャスター:
倉持さん、もちろんすぐに検査を受けられたり受診できたりすれば、本当にいいんだと思うんですけれども、「数日待ってください」というふうに言われてなかなか検査できない場合に、検査を待ってる間にどんなことが起きうると、医療関係者の皆さんは懸念されてますか。
インターパーク倉持呼吸器内科 倉持仁院長:
実際にはオミクロン株の感染であれば、体はしんどいですが、ひどい肺炎になったりすることは少ない一方、他の疾患の場合で見落とされた場合には、重篤になってしまうことがありますから、例えばオンライン診療でも相談できるような医療機関を、あるいはインターパーク倉持呼吸器内科では、まだきちんと検査体制も診療体制もできていますから、外来の診療体制の構築というのを、足りないからこそ今すぐ支給を行うべきだと思います。
井上貴博キャスター:
オミクロン株の波になってから本当に症状が様々な印象があって、健康な方だと本当に風邪やインフルエンザぐらい。あとやっぱり合併症のリスクがあるから、そこは怖いんだという話を伺うですけど、南波さんの説明にありましたが、リスクが低いとされている4項目(症状が軽い・40歳未満・基礎疾患なし・ワクチン2回接種済み、など)の方などは、だいたい診察されていて何日ぐらいで、症状は治まっていく感覚ですか?
インターパーク倉持呼吸器内科 倉持仁院長:
リスクというのは、あくまでも自治体や保健所などの非医師の方が見るときに、この基準を使って見てるだけなんです。我々やっぱり直接、患者さんを見てみないと、本当に軽症なのか重症なのかわかりませんから、あくまでも目安にしかならないということで、一番はきちんと受診できる体制が必要だということです。
井上貴博キャスター:
デルタ株との症状の違いについてはどうでしょうか?
インターパーク倉持呼吸器内科 倉持仁院長:
デルタ株との違いは、今もデルタ株ですとひどい肺炎を起こしてきて、我々のクリニックでも1割2割はデルタ株で重症の肺炎です。医療機関としては軽いオミクロンの方は、きちんと診察しておうちに帰っていただき、重症の患者の中からデルタを見逃さないというようなことで、おうちで使っていた酸素飽和度の機械とかを使うとか、高熱が何日も続くというときは、必ず医療機関を受診していただきたいと思いますね。
南波雅俊キャスター:
そして今、なかなか抗原検査キットを手に入らないということで国も手を打ち始めました。後藤厚労大臣は1月27日の会見で
【後藤茂之厚労大臣の発言】
必要なところに、確実に検査キットが供給されるようにするために、優先度に応じた物流の流れを確保する措置を講じていく
南波雅俊キャスター:
このように話しました。というのもこれまで1日およそ50万回分の供給があったんですが、それを80万回分の供給までに増産をして、医療機関などに優先的な供給を行いたいということです。その優先の順位なんです。
【抗原検査キットの優先順位】
【1】症状のある人に対する検査を行う医療機関・自治体・自治体が指定した薬局
【2】エッセンシャルワーカー
(医療従事者などの濃厚接触者の待機期間の解除をするために使用する)
【3】自治体の無料検査事業
(薬局などが請け負うが、症状がない人でも受けられる無料検査)
南波雅俊キャスター:
自分で検査をしたいと思ってお金を払って薬局に買いに行く、そうやって買いたいと思ったとき、一般薬局での販売というのは優先しないという判断になっています。こうした中で厚生労働省の担当者は、
【厚生労働省の担当者】
一般薬局での需給が厳しくなることは想定している
南波雅俊キャスター:
症状のある人の検査を最優先にする方針だと、抗原検査キットの症状がある人への配布の方法なんですけれども、方法は各都道府県で決めてもらうことになっています。自分で取りに行くのか、デリバリー型で届けてもらうとか、そのあたりも含めて、どこにを置くのかも含めて、各都道府県に委ねているということなんです。
ホラン千秋キャスター:
倉持さん、このように優先順位をつけた方が、確かな医療を届けられるというような印象でしょうか?
インターパーク倉持呼吸器内科 倉持仁院長:
その通りだと思うんですが、そもそも論として、抗原定性キットというのは非常に感度が低いんです。一番正しいのは、医療機関で速やかにPCRの検査ができるような体制を整えること、そして緊急時にその場で判定が必要な場合には、抗原定性キット併用して使っていくという使い方が大事なことです。ですから、根本的にはPCR検査体制の構築をきちんとやっていただいた上で、抗原定性キットと合わせることが大事です。
(28日18:45)
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